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気になることを対話する「日本の給与水準があがらないのはなぜ?」

みなさん、こんにちは。エンパブリックの瀬沼です。
今回は2023年1月14日に開催した「気になることを対話するひろば(※)」の中で『日本の給与水準が上がらないのはなぜ?』という問いから対話を行った際の様子をお伝えしたいと思います。

※気になることを対話する広場とは、いまの社会で気になるけれど後回しになることを対話しよう!をコンセプトに、「専門ではないし、詳しくないからこそ対話しながら考えてみよう」ということで毎回気になるテーマについて定期的に話しているイベントです。

日本の給与水準が30年くらい上昇していないと言われます。例えば、下記のような国際比較の記事もあります。
https://www.dlri.co.jp/report/macro/203118.html 

日本の平均賃金は、OECDデータ(2021年)では、34か国中で24位と低い。最近は、中東欧の国々にも抜かれ始めた。1ドル145円で計算すると、ほかの中東欧諸国にも抜かれて28位にまで下がる。「安い日本」を利用して、平均賃金を引き上げる方法を考える。

第一生命経済研究所「経済分析レポート 平均賃金で見た「安い日本」より


「日本の給与があがらないのは、どうしてなのか?」という問は、エンパブリックで実施した「「つながり」と「構造」を使いこなそう!~ 複雑な社会問題を解決し、 変化を促すためのシステム思考入門」の時に参加者の方から出てきたテーマでした。
講座の時はループ図を書いて考える練習の機会として、どんな構造になっているのか?どんな要素が繋がって影響を与えているのか?を対話しながら考えました。

この時の問いをもとに、「気になることを対話しよう」広場で引き続き続きを考えたのが今回の機会です。

当日参加していただいた皆さんと問いを出していく中で、「日本の経営者や政府、メディアのトップ層が90年代の感覚で止まっているように感じる。それは、なぜだろう?」という問いを深めていくことにしました。
そこで出たのが、変わらずとも「なんとか、なっている」状態が続いてきたのでは?という話題です。
今、目の前がなんとかなっているから、とりあえず目の前のことをする。しかし多くの人が変化する必要性には気付いているが、リスクをとれないまま将来への不安は高まっていく」状況が続いてきている。
じゃあ、それはなぜ?と考えると、日本は「このままでは、なんとかならない」という状況に陥ってこなかったのではないか、という話になりました。

戦後の経済成長の流れでメーカーが利益を生み出しましたが、金融が不動産投資に向かい、バブルとなりました。バブル崩壊は不動産総量規制によるもので、それは金融の問題として扱われ、産業構造は変えずに続けることができました。実際に1991年にバブルが崩壊したとされていますが、金融機関の見直しは1998年頃になってからだったとのこと。つまり、90年代の10年間は「バブル崩壊はあったものの、これまでの余力もあり変わらなくてもなんとかなった」時代だったのではないでしょうか。
この期間の現場にいた人が今の上層部にして、「変わらなければいけないが、変わらなくても、なんとかなる」という思考パターンになっているのではないか。そんな話になりました。

この話題は当日参加してくださったメンバーの中に経営や金融機関のこれまでの流れを渦中で経験されてきた方が感じていることから繋がってきた話題でした。
本当に、empublic Studioには色々な分野で豊富な経験を持っている人がいるんだ!と、体感する機会にもなりました。

「正解」を見つけるための場ではないからこそ、問題意識を言葉にしてみることで自分の考えとほかの人の考えが繋がり、新しい発見や自分のこれまでの経験を意味づけすることにもなるのではないかと思います。これも対話の一つの効果だと感じました。

 「変わらければいけないのはわかっているけれど、変わらなくても、なんとかなる」を、どうしたらいい?の続きは2月1日に開催するスタジオワールドカフェでも取り扱いたいなと思っています。

気になる方はこちらからご参加ください。


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